延岡市にある城山城址址二の丸広場を舞台に、天下一が舞う「第22回記念のべおか天下一薪能」が今年も開催されます。2018年度は、能「羽衣」・狂言「太刀奪」・能「恋重荷」が上演されます。
のべおか天下一薪能は、NPO法人・のべおか天下一市民交流機構が、延岡の歴史・文化を活かした新しい延岡の地域づくり・ブランドづくりを通じて、地域の情報を広く世界に発信するとともに、地域の人々にふるさとへの愛着と誇りを醸成しようと、平成9年度から開催しています。
目次
第22回のべおか天下一薪能の会場、日程、演目は?
◆会場:延岡城址二の丸広場
◆日程
・2018年10月6日(土)
・開場:15:00
・開演:17:30
◆出演
片山 九郎右衛門
茂山千五郎 ほか
延岡市のこどもたち
◆演目
・能「羽衣」・狂言「太刀奪」・能「恋重荷」
第22回のべおか天下一薪能の入場料金、チケット予約方法は?
◆入場料金
・特席:10,000円
・SS席:8,000円
・S 席:6,000円
・A 席:4,000円
◆チケット予約方法:座席は全席指定
※必要事項明記し、下記宛先までハガキ、FAX、メールでの申し込み
【宛先】
・ハガキ
〒882-0813
延岡市東本小路131-5
延岡市民協働まちづくりセンター内のべおか天下一市民交流機構
・FAX:0982-32-6151
・Eメール:tengaichi@dolphin.ocn.ne.jp
【必要事項】
・郵便番号
・住所
・氏名
・連絡先(電話番号)
・希望の座席種類と枚数
・雨天の場合、2回の入れ替え公演となりますので、昼の部(15:30開演)、夜の部(18:30開演)のいずれか
※プレイガイドでの販売:8月4日からS席、A席について販売開始
・延岡市:延岡総合文化センター
・宮崎市:メディキット県民文化センター
演目の能「羽衣」・狂言「太刀奪」・能「恋重荷」とは?
◆能「羽衣」
春の朝、三保の松原に住む漁師白龍は仲間と釣りに出た折に、松の枝に掛かった美しい衣を見つけます。家宝にするために持ち帰ろうとした白龍に、天女が現れて声をかけ、その羽衣を返して欲しいと頼みます。白龍は、はじめは聞き入れず返そうとはしませんでしたが「それがないと、天には帰れない」と悲しむ天女の姿に心が動かされ、天女の舞を見せてもらう代わりに、衣を返すことにします。羽衣を着九天女は、月宮の様子を表す舞などを見せて、さらに春の三保の松原を賛美しながら舞い続け、やがて彼方の富士山へ舞い上がり、霞に紛れて消えていきます。
昔話の羽衣伝説を典拠にした物語です。昔話では天女は羽衣を隠されてしまい泣く泣く人間の妻になるのですが、能では、すぐに衣を返します。羽衣を返したら、舞も舞わずに帰ってしまうのだろうと言う白龍に天女が「いや、疑いは人間にあり、天に偽りなきものを」と返します。正直者の白龍は、そんな天女の言葉に感動するのです。そういう意味で心地よい全てが善意に溢れて清く、幸福な気分にしてくれる曲です。
【登場人物・想定使用面】
・シテ 天女 増女 若女等
・ワキ 漁師白龍
◆狂言「太刀奪」
狂言「太刀奪(たちうばい)」
北野神社への参拝に出かけた主人と太郎冠者、よい太刀を持った男を見つけ、その男から太刀を奪おうと計画します。太郎冠者は主人が腰にさしていた太刀を借りうけ、その男に近づき、市の店に気を取られている隙に男の太刀に手をかけて盗もうとするのですが失敗し、逆に男から預かっていた主人の太刀を奪われてしまいます。
主人と太郎冠者は太刀を取り戻そうと男を待ち伏せし、男に後ろから近づきまず主人が羽交い締めにして捕まえます。そして「今のうちに、縄を持って男を縛りあげろ」と太郎冠者に言いますが、太郎冠者はそこから、ゆうゆうと藁束を巻合わせて一本の縄づくりをはじめます。そんな状態ですから、あっさりと男には逃げられてしまいます。いざ事に直面して初めて、慌てて対処に取り組み始めるさまを形容する言い回し。「泥棒を捕らえて縄をなう」いわゆる「泥縄」の諺を舞台化したものです。
【登場人物】
太郎冠者
主人
男
◆能「恋重荷」
能「恋重荷(こいのおもに)」
白河院御所の庭で、菊の世話をする山科の荘司という老いた男がいました。荘司は白河院の一人の女御の姿を見て恋心を抱いてしまいました。それは邸内でも知られる話となり、身分の違う老いた男の恋をからかうような雰囲気が生まれます。ある日、荘司に臣下が『お前が、美しく装飾されている荷を持って、庭の中を百回、千回と巡れば、お前の願いを叶え、その女御と逢わせてあげる』といいます。荘司がわずかな望みができたと喜びます。
そして下働きで鍛えた体、少し老いているが、荷を持ち上げようとするのですが、なかなか持ち上がりません。実は、臣下や女御が、包みの中に到底持ち上げることのできない巌を入れていたのです。持ち上がらないものを女御に会いたいばっかりに懸命に持ち上げようとする荘司に、叶わぬ恋を諦めさせる魂胆でした。それとも知らず、渾身の力を込めつづけた荘司はとうとう力尽き、絶望し、この仕打ちを恨み。女御に思い知らせてやると言いながら死んでしまいます。
臣下から荘司の死を知らされた女御は、びっくり。し荘司の死を悼むのですが、その場から立ち上がれなくなります。体に巌がのしかかっているように身動きが取れなくなります。すると、そこへ荘司の悪霊が現れます。悪霊は女御のひどい仕打ちに憤り、恨み言を語り、地獄で苦しんでいることを伝えて女御を責め立てました。
しかし、最後には荘司の悪霊は、私のことを弔ってくれるなら、恨みを消して、あなたの守り神になって末永く守ろうと言って、去っていきます。
美しい女性に恋をしてしまった老人の悲哀と恨みを描いた作品。いわば叶わぬ老いらくの恋の物語だが、最後は恨みとおすこともなく、報われずとも愛した人の側で支える道を選んだ老人の健気(けなげ)さが印象深いものになっています。
【登場人物・想定使用面】
・前シテ 山科荘司 尉 系(三光尉・笑尉等)
・後シテ 山科荘司の亡霊 悪尉系(鼻癡悪尉・ペシ見悪尉等)
・ツレ 白河の女御 小面
・ワキ 白河院の臣下
2018能ウィークって?
【のべおか天下一薪能写真展】
◆期間:9月15日(土)~10月8日(月)
◆会場:延岡市民協働まちづくりセンター
◆入場料:無料
◆内容:のべおか天下一薪能21年間に撮影された公演写真を中心とした写真展
【延岡市民能舞台】
◆開催日:9月29日(土)
◆会 場:野口記念館
◆内 容:市民による謡や踊りの舞台が繰り広げられます。